熊本の弁護士 たんぽぽ法律事務所

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熊本県御船町竹バイオマス住民訴訟 御船町が控訴取り下げ 終結

ニュース2015.09.14

 本訴訟は、御船町が、国からの地域バイオマス利活用交付金を設立されたばかりの事業会社に漫然と支出し(2回に分けて支出。合計約3億円)、事業会社が自己資金を調達できなかったことから事業が全く実施できず、国から御船町が事業会社に代わり交付金の返還を求められ御船町に約3億円もの損害が生じたことへの町長の責任を追及する住民訴訟です。

 平成26年10月27日、熊本地方裁判所は、山本町長の金銭支出行為に違法性があったことを認定し、御船町が山本氏個人に対して9279万3000円を請求することを命じる住民勝訴判決を言い渡しました。

 この判決は、第2回目の支出の時点で、事業会社は、「事業に必要な資金の融資を受けられないことが確実な状況に至ったといわざるを得ない」とし、さらに山本町長(当時の)の事業会社の資金調達についての調査・検討は「9000万円を超える多額の支出であるということに比して、極めて軽率な対応であったと評価せざるを得ない」とした上で、山本町長(当時の)の2回目の支出は、「社会通念上著しく妥当性を欠いた行為であり、裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した違法な行為に該当するというべきである」と断じて山本町長(当時の)の支出行為の違法性を正面から認めました。

 この判決は、首長の法的責任を正面から断じた極めて画期的かつ高く評価される判決ですので、判決を重く受け止め、控訴するべきではないと御船町に申し入れを行いましたが、御船町は不当にも控訴しました。

 御船町の控訴を受け、住民側も1回目の2億円の支出行為の違法性を改めて問うべく附帯控訴しました。 

 平成27年3月23日、福岡高裁で控訴審の第一回口頭弁論が行われました。住民の代表者1名が意見陳述を行い、本件の問題点などの意見を述べました。

 高裁の第2回弁論は、6月1日に行われる予定でした。

 しかし、平成27年4月の御船町町長選挙において、熊本地方裁判所の画期的な住民勝訴判決もあり、竹バイオマス問題は町長選においても重要争点の一つとなり、福岡高裁への控訴取り下げを公約として掲げた藤木氏が御船町長に当選したことにより状況は一変しました。

 町長選の影響を受け、6月1日に予定されていた福岡高裁の口頭弁論は、8月31日に延期されました。

 そして、平成27年8月1日、御船町議会において控訴取り下げが可決され、同月17日付で御船町が福岡高裁に控訴取下げを行ったことにより、一審の住民勝訴判決が確定しました。

 住民監査請求を経て、平成23年6月に熊本地裁に提訴してから、4年を超える長きにわたった裁判は、これをもって終結しました。

 原告団・弁護団の住民訴訟をはじめとする活動を4年以上の長きにわたりご支援いただきありがとうございました。